531人が本棚に入れています
本棚に追加
佐原くんの一言に、キョウはゆっくりと頷いた。
「ミックスは、ドロジーにとって利用価値の高い吸血鬼だ」
利用価値の高い……?
一体、どういう意味なのか。 そう聞き返すより早く、キョウが言葉を続けた。
「説明した通り、ミックスは吸血鬼の血が目覚めた時点で不老となる。だがドロジーは歳を取る上に、血を飲まなければ飢えて死ぬ」
そこまでは、病院で聞いたこと。 霧生さんが入院している病室で。
……そういえば、あの時霧生さんは言っていた。
ミックスとドロジーを接触させてはいけない、――と。
「血への欲求はあるが、飲まなくともミックスは生きていける。力もスピードも持ち続けたまま、故意にダメージを与えられない限りミックスは生き続ける。
――…ドロジーにとっては、最強の味方となる」
最初のコメントを投稿しよう!