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「最強の――味方?」
けど、だけど……。
「私を襲ったドロジーは、ミックスの存在を信じなかったし……知らなかったよ……?」
私の言葉に反応を示したのは佐原くんで、彼は表情を一寸たりとも変えないまま口を開いた。
・・
「アレは雑魚です。 吸血鬼たちの中でも下の下に位置しているはず。 ドロジーたちは普段、単独で狩りをすることはしない」
「え……?」
「あのドロジーは稚拙で馬鹿だということです。 そんな男に、ミックスの話などしたところで会話は成り立ちません」
冷たく言い放った佐原くんをつい凝視してしまう。
そんな私の肩に手を置いたキョウは頷きながら言葉を発した。
「だが、ドロジーの組織に横流しされれば話は変わってくる」
「……」
「ミックスの存在を確認すれば、必ず組織の幹部が動いてくるだろう」
じっ、と私の目を覗き込むキョウ。
その瞳は僅かに揺れ動いていて、動揺が見え隠れしていた。
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