イチトゼロ

ばいばい

佐原くん……。

彼の目に真っ直ぐ見据えられ、なぜか鼓動が速くなる。 ﾄﾞｸﾄﾞｸと、波打つ脈が容易に感じられる。

それは佐原くんの視線に圧倒されたからなのか、単純に“守る”という単語が嬉しかったからなのか。

「夢吉、お前もミックスだということを忘れてはいないだろうな」

キョウの言葉にはっとした。

佐原くんもミックスなのだから、それが明るみになったら彼も狙われてしまう――。

「ﾊﾞﾚたところで、何も心配することはありません」

はっきりとそう告げる佐原くん。

再び反論を示すかと思ったキョウは、僅かに笑みを浮かべて息を吐いた。

「まぁ、お前なら心配ないか」

安堵を見え隠れさせた表情で、キョウはうんうんと頷いている。

「ちょ、ちょっと、勝手に納得されても困るんだけど」

私を間に挟んだ上で二人だけ解決するなんて。