ばいばい

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今、なんて……? 「発作が起きないなんて……あり得ないんじゃないの……?」 心情をありのまま口外へと発してしまい、思わず唇をつぐむ。 私の手当てを続けながら、キョウは笑い言った。 「夢吉はな、昔――」 「キョウさん」 ……! 初めて佐原くんがキョウを呼んだことに驚く。 佐原くんの視線はなぜか鋭く見えて、キョウのセリフの先を途絶えさせるように言葉を繋げた。 「――天野さんは疲れています。 もう寝かせてあげましょう」 キョウは何かを悟ったように目を細め、微笑みを浮かべたまま立ち上がった。 「そうだね。 依千、もう休みなさい。零も大丈夫だから」 「……でも」 「依千も零も、私がきちんと守るよ」    
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