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ドアを閉めると同時に、勢いよくベッドへと倒れ込む。
重く感じる身体が布団へのめりこむような感覚が少しだけ心地好くて、私は目を閉じた。
考えなきゃならないことがたくさんあるはずなのに、ソレと反比例するように能が活動を休止していく。
途端に、思考は働かなくなった。
―――……
――……
うわーん、うわーん!
誰…? 誰か、泣いてる…?
うわーん、うわーん!
誰だっけ……聞き覚えのある声。
痛いよー! 姉ちゃー!!
……零?
「痛いよ、痛いよー!」
目の前で、零が泣いてる。
膝からは血を流して、顔を抑え私を呼んでる。
「姉ちゃ、痛い、痛いよぉ」
私と零がまだ、小学生になりたてのとき。
汚れたランドセルを背負い泣きじゃくる零に、私は近付いた。
けど足は動かなくて、零の前にもう一つの影が現れた。
「また虐められたの?」
「痛いよぉ! なにもしてないのに叩いてくる!」
「泣かない! 男でしょ!!」
零の顔をハンカチで拭く少女。 ……私だ。
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