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「おい、どうしたよ藤志。急に黙っちゃってさ。」
良治が覗き込んできてやっと自分が黙り込んでいたのに気付いた。
「えっいや、別に? えっと……新生活のこととか色々考えてただけだよ。」
「そっか。藤志は一人暮らしだもんね。うらやましいな。」
駿がそう言ってきたが、おれはその言葉に顔を暗くした。
「……違うんだよ。実はおれ……一人暮らしじゃないんだ。」
「うええっ? なんでだよ! ここ名古屋だぜ? まさか毎日東京まで通うつもりかよ。」
良治が案の定目を丸くしている。
「もちろんそれは無理だよ。普通にありえないだろ。」
「はああ? じゃあなんだよ? どゆこと? 」
良治にはまったく意味が分からないようだったが、駿はすぐにひらめいたらしい。
「ああ~……。なるほどね。わかっちゃったかも俺。」
「なになに? 言えよー、全く俺はわからんぞ。」
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