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卓哉がおれのこと大好きなのも、他の人と仲良くすると不機嫌になるのも知ってるけど、ちょっとやりすぎなんじゃ…。
「もう、ゆうさん!ヘタレにも程があるでしょ!あんな風に言われて情けなくないの?」
「そーだぞ。男ならさぁ、『愛に時間なんて関係ねぇ!』くらい言っちゃいなよ。」
ゆめ&光さんコンビ。
それはゆうさんを励ましてるのか?煽ってるのか?
「へぇ卓哉もそうだったんだ。藤志って総愛され系無自覚ショタ?属性多いなー。これぞ恋愛のトライアングルだね!」
「いや…トライアングルじゃ角が足りない気もするが…。」
遥さん&浅羽さんコンビ。
全体的に何言ってるのか不明。
「トライアングル…?って、棒でチーンチーンって鳴らすやつだっけ。保育園の時触ったことあるかも。」
「やだ藤志ったら、卑猥/////」
「???」
ゆめがまたもや謎の興奮をし出した所で、卓哉が俺の肩を強引に抱いた。
そしてそのまま駅へと歩き始めてしまい、極めつけに捨て台詞をぽいっ。
「藤志に二度と近づくんじゃねーぞ平凡。」
「いやバイト一緒だし無理ですけど!?」
ゆうさんの絶叫つっこみがその場に木霊した。
ガタゴトと揺れる電車の中。
夏休みだからか家族連れが多く、結構混んでいる。
誰もが笑顔で今日の思い出やなんかを話している賑やかなその場所で、おれはただ今説教の真っ最中である。
「卓哉、ゆうさん先輩なんだから失礼なこと言っちゃダメだよ。」
「………。」
「もう、何か反応しろよなっ!無視はやめて!」
つり革に手首を引っ掛けてぶすーっと黙りこんでいる卓哉と、それを見上げて一方的に怒るおれ。
てかなんでつり革に手首引っ掛かるの。おれなんて肘ピーンて伸ばしてやっと指が届くんだけど!
「藤志…」
「ん?」
やっと口を開いてくれた卓哉にぱぁっと顔を輝かせたけど
「藤志のバカ。」
「えっ!?」
すぐに曇りました。
「どういうこと!」
「俺が9割方告っても気付かなかった癖に、あんな奴のことはあっさり意識するとか…」
「ちょ、聞こえない!何て?」
ちょうど橋の上を渡っているため、低い声でぼそぼそ言われても全く聞こえない。
通り過ぎてから聞き直したらさっき以上にむっすうう~っと頬膨らませやがった。
もー何それ!可愛い!
違う違う、そうじゃなくてっ!!
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