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視点はとある少年に移る。
いつものように登校する男、隅村 陽治(スミムラ ヨウジ)はため息する。
「どうしたのさ?陽治。」
「うっせ。リア充が。」
陽治は自分の隣を三人の女子を侍らせて登校する無駄に整った顔つきの男、須藤 翔梧(スドウ ショウゴ)に冷たく返した。
この二人は小説でよくある主人公とわき役でお互い親友と言った関係である。
陽治自体も中々に美形ではあるが親友の翔梧の隣にいるためどうしても霞んでしまう。
「陽治!翔梧が問いかけてるんだからちゃんと返事しなさいよ!!」
「そうよ!貴方が翔梧の隣を歩くなんてまだ私たちは納得してないんだから!!」
「まあまあ、落ち着いて。でも返事は返したほうがいいよ陽治。」
二人の女子に罵倒され、一人の女子に忠告されトホホと肩を落とす陽治。
その姿は頭の上にズーンと言う効果音が浮かんでいるように見えた。
「なんとかならんのかこの空間は。」
そんな感じでワイワイとしている陽治たちの横を銀髪の男、雅孝が通り過ぎて行った。
「おい。翔梧!今の『白夜叉』だぞ!?」
「「「「白夜叉?」」」」
まるで芸能人を見つけたように騒ぎ出す陽治と全く訳が解らないと言う顔をする翔梧とそのハーレムメンバー(一名は不明)。
「白夜叉を知らないのか!?かなり有名だぞ!?
此処等一帯のゴロツキを病院送りにするわ、噂を聞いてきた不良の一団を全滅させるわ、地上げしにきたヤクザの下っ端を病院送りにしてその後ソイツらの組を一人で潰した最強の不良で警察からも畏敬の眼差しを向けられてる有名人だぞ!?この辺りの商店街ではヒーローなんて呼ばれる位の奴だぞ!?」
内容よりそれを言い切った肺活量の方が驚きだ。
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