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「あ、の、私 もう帰ります。」
これ以上ここにいたらただでさえ弱い私の心臓は活動しすぎて停止してしまうかもしれないと思ったから。
「帰るのかい?」
つまらなそうに言いながら彼は、私と同じように縁側から立ち上がった。
そして、
「また、おいで。」
妖艶であって楽しそうで怖いくらい綺麗に彼は微笑んだ。
私は顔に熱をもったまま頷いて逃げるようにその家を後にした。
庭にある白木蓮の花がまた一つ、地に落ちた。
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