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カツカツと黒板にチョークを打ち付ける音が響く4時間目の授業。
50分間の授業はあと5分しかないというのにまだ書き続ける若い理科の教師に男子が口をそろえてブーイングしている。
それでもなお、書き続ける教師にみんなげっそりとしている。
そのせいか、チャイムが鳴り終わってもノートをしまう人はいなかった。
「終わったー。奈瑞菜ー、ご飯食おー。」
隣の席で机につっぷしていた
天ちゃんこと天音(あまね)が顔を上げた。
「うん。外行く?」
「行こ行こ。」
お弁当を持って教室を出て並んで外へ向かい、すっかりお馴染みになったベンチに座ってお弁当を頬張る。
風が強いため長い髪が乱れて少し鬱陶しいが、天音は髪を短く切り揃えているため気にならないようだ。
背が高い上に髪は短く、さばさばした性格のため密かに下級生から人気がある天音は、私が転校してきたとき真っ先に話しかけてくれたため、会ってまだ1ヶ月だというのに一緒にいて楽と思えるほど仲良くなった。
「奈瑞菜のお弁当ってお母さんが作ってんの?」
「これ?これは妹が作ってるよ。」
「あんたって本当、できのいい妹もってるよね。」
「自分でもそう思う。なんであの子朝早く
から起きてご飯作れるんだろ?」
「いや、それ普通だから。」
天音とののんびりした時間は私にとってとても大切な物になっている。
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