庭石菖

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お弁当を食べ終わりかけていた頃、携帯の着信音が鳴った。 私じゃない。 「おっと。電話でるからごめん。後でね。」 「うん。またね。」 携帯を耳に押しあてて走っていく天音を見送りお弁当を片付ける。 昼休み、天音には必ずといっていいほど毎日電話がかかってくる。 相手が誰かは知らないが、天音のあの顔を見たら大体の想像はつく。 「彼氏かぁ。」 包み終わったお弁当を膝の上に置いて呟いてみた。 「私には無理だろうなぁ。」 自由が好きな私は彼氏なんて縁のない話だと思う。 あんな風に毎日メールしたり毎週遊んだりとかすることが最終的にはめんどくさくなってしまいそうだから。 周りに合わせることはできる。 でも、恋人の関係となるとそうではいかないと思う。 私は自分のリズムで生きていきたいと思う人だ。 自分のリズムで毎日過ごして、呼吸して、心臓を動かして、誰にも惑わされず、染められず。 そうやって生きていきたい。
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