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「あの先生いっつも眉間にシワよってるよね。」
「ねー。だからかな?普通にしててもシワのあとが残ってるの。」
学校からの下校道を天音と歩く。
お互い忙しくないときは二人で帰るようにしている。
まぁ、二人とも部活には入ってないからいつも一緒なんだよなぁ。
他愛もない話をしながらだらだらと帰路を歩いていると、あの分かれ道に来た。
真っ直ぐ行けば家。左へ進めば季乃之と名のる男の家。
「天ちゃん、ごめん。私こっち行くから。」
「え?こっち?」
怪訝そうに眉をよせ、じっとこちらを見つめる。
何があるの?
と聞いているようだ。
「えっと、ちょっと知り合いがいて、ね。その…。」
必死に言葉を繋ぐ私を見て天音の口元に笑みがうかんだ。
「ふーん。じゃぁ、また明日ね。」
「うん。ばいばい。」
彼女の笑みに一瞬嫌な予感がしたのだが、気のせいだと思って木々に囲まれた道に足を踏み入れると後ろから、
「ちゃんと話してもらうからね?あー、楽しみだなぁ。」
と、それはそれは楽しそうな声が聞こえた。
あぁ、やっぱり…。
と思いつつ、目の前に続く薄暗い道を駆け足で走った。
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