白木蓮

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先生が寝ている生徒の名前を呼び椅子を引く音が響く。 授業終了まであと10分なので、チャイムが鳴るまで立たされるらしい。 立たされてなお、寝ている男子生徒の頭を先生が教科書でパコッと叩いた。 どっと教室で笑いがおこり、そこからは授業はせず生徒と先生の会話で10分はつぶれた。 SHRを終え廊下に出て、さぁ帰るかと思ったときだ。 「あれ?奈瑞菜(なずな)。掃除なし?」 クラスメイトの絵理(えり)が話しかけてきた。 「うん。絵理ちゃんは部活?」 「そ。試合が近くてさー。練習時間も延びたんだよねぇ。」 「ハードだね。」 「うん。まぁテニス好きだから別にいいんだけどさぁ。」 斜め掛けにしているテニスラケットの入った袋をポンッと叩いてみせる。 「んじゃ、そろそろいくね。ばいばーい。」 「がんばってね。」 走っていく絵理を見送って玄関へ向かう。 自分は部活に入っていないため放課後はまっすぐ家に帰っている。
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