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自分の耳に季乃さんの声が聞こえてきた時にはすでに自分の髪が季乃さんの手によって整えられていた。
「じ、自分でできます!」
「まぁまぁ。」
あまりの至近距離にめまいがしたため言ったのに、さらりとながされてしまった。
緊張のせいで固まっていると、整ったのか季乃さんが手をおろした。
季乃さんが手をひいてくれたことにほっとしていると、
「ひまだ。」
彼の口から本日二度目の言葉がもれた。
「二回目ですよ。それ。」
「暇なのだからしょうがないじゃないか。」
そう言うと季乃さんは靴を履いて立ち上がり、
「散歩にいこうか。」
と言った。
「急ですね。」
「さっき思いついたからね。」
早くと急かすような目で見られため息をつき、のろのろと自分も靴を履いた。
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