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温かいものに包まれている感触で目を覚ました。
目の前は見慣れない天井。
上体を起こして周りを見ると、そこは畳の部屋で周りには何も無い部屋だった。
ただ一つ物があるとすれば、自分が寝かされている布団だけだ。
のそのそと布団から起き上がり襖に手を掛け開けてみると、先ほど見た白い花の木があった庭が目に飛び込んできた。
どうやら、この家は先ほどの庭の中心にあった家らしい。
動く気になれず、縁側に突っ立ってボーッと庭を眺めていると
「あぁ、起きたのか。」
横から声がした
弾かれたようにそちらを向くと、男が腕を組んで立っていた。
背は高く整った顔立ちをしている。
「庭で倒れていたから運ばせてもらったよ。大丈夫かい?」
程よい低音で問いかけてくる男をじっと見つめる。
「…大丈夫 だと思います。えっと、ありがとうございました。」
「大丈夫ならよかった。もう日も暮れているが、そっちの方は大丈夫かい?」
タイミングを図ったように外で鴉が鳴いた。
寝ているうちに夕暮れになっていたらしく紅い空は夜になろうとしている。
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