恥の多い人生

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またお金がない。 芳子も今は金がない。でも僕は家に生活費をいれないといけない。 妻はまだ僕がスロプロとは知らない。だから今月どうも調子悪くてとは言えない。妻にはこんな仕事しているなんて言えない。もしばれたら確実に離婚となる。いや、僕はこう見えて家ではいい夫、いい父親を演じてきた。勿論僕は妻も子供も大好きだ。だから傷つけたくない。悲しい思いはさせられない。 残金約六万円。信じて打つか、人の道に戻るか。 鬼。鬼としての本性があらわれる。 スロットするからいけないんだ。パチンコしろよ。 鬼はさらに言う。 今はむしろパチンコだぜ。一発あてればスロットの数倍いくぜ。MAXうてよ。MAX。 確かに今パチンコは凄い。特にハイスペックとなればそのループは凄まじい。 鬼よ。お前は鬼か天使か。鬼だよ。みりゃわかるだろ。 鏡にうつる僕の顔は鬼。 「ホクトノケンゴウショウ」 鬼はこれを打てと言う。確かにその出玉スピードは凄まじい。世紀末救世主は本当に救世主なのか。否。デビルリバースだった。 当たる気配もなく僕はイチモンナシになった。 家には米すらない。食べるものもない。 僕がまともに働いていたらこんなことにはならなかった。 どうしたらいい。 そもそもスロプロなんて家庭を持っている人間のすることではない。 家族に迷惑がかかる。そして子供は父親の職業を誰にも誇れない。 こんな父親ならいない方がいい。 何故僕はこんなことになってしまったのか。 妻に打ち明けよう。 それが何より子供のためだ。
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