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昔 この部屋に、"春奈"という女の子が住んでて、 その隣には、"洋司"という男の子が住んでたんだ。 春奈は、家が貧乏だった。 だから、ロクな服も着れなかった。 だから、普段からよくいじめられていた。 でも、洋司はそんなの関係なかった。 だから、そんな大した理由でもないのに…むしろ、そんな理由でいじめるというのは洋司にとっちゃ許せなかったんだ。 ある日、ついに洋司は大喧嘩を始めたんだ。 いじめる奴ってのは集団で寄ってたかって、悪いことに棒とか何か武器なんか持っているからかなうわけがない。 全身に痣やすり傷、ミミズ腫れとか作って、その場で大の字になっているところに、春奈は来たんだ。 「…なんで…」 「…キライなんだよ。あぁいうヤツら。だから、ケンカした。」 「……。」 『お前のため』、とは一言もなかった。 ……その通りなんだが、恥ずかしかったんだろうな。 ただ、口に出さなくても態度でそれを表していた。 毎日、一緒に学校に行って、帰るようになって、いじめる奴らに遭遇したらまた喧嘩を始める…いつもボロボロになりながら…。そんな日々が続いた。
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