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「これが、その時の指輪だ。」
出したのは、プラスチックとガラス玉で作られた、それこそ、大人から見たら粗末な指輪だ。
だが、今みたいにあらゆる点で堕落し、荒んでしまった俺の、最後の支えだった。
女は突然、はっ、としたように、バックを漁り始め、取り出したあるものを俺に見せた。
「あなたが…洋司くんが言っている指輪って…これ?」
…まさしく。
これはガキのとき、互いに交換し合った指輪だ。
やっぱり…春奈だったか…。
「やっと…会えたね…」
春奈は正面から抱きついてきた。
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