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「…はぁ…」
男は胸に包丁が刺さって、もう動くことはなかった、
俺も俺で血だらけで、もう動くこともままならない。
「…春奈ァ。タバコ、そこのパソコンの机にあるから取ってくれんか?」
彼女は無言でそれに従った。
火までつけてくれた。ありがてぇ。
「…サンキュ。」
彼女はその場でボロボロ泣き始めた。
「…なん…で…」
「……お前のためだ。」
あぁ…何か脚とか腕とかが冷たくなってきたな…。
血も足りねぇ…起き上がれねぇ…。
こんな事なら普段から鉄分とかカルシウム摂っておきゃよかったな…。
「…死な…ないで…」
そうだな。生きてお前と一緒にいなきゃならんもんな…。
「生きなきゃ……ならん…な。」
生きなきゃ……。
はぁ……。
春奈は、何か叫びながら大粒の涙を俺の顔にこぼした。
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