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【ドンッ、ドンッ…ガンッ…ドンドンドンッ…】
パソコンの前で呆然としていたときに、ドアを強く叩く音がして戦慄した。…暴漢か…?
俺は今もなお叩かれ続けるドアと向かい合い、凍りついた。
そのすぐ後に、俺のすべき事は。
俺は台所から一番長い包丁を取りだし、再び扉と向かい合った。
今もなお、叩かれ続ける扉。
割りと丈夫だとは言え、木製だからいつ突破されてもおかしくない。
俺は、その瞬間を待ちつづけた。ただ、ひたすらに…。
足がすくむ。
心臓の鼓動が今までにないくらいに細かく、大きく響いている。
額からの脂汗も止まらない。
それでも、視線は扉に、足はしっかりと踏みしめ、いつでも飛びかかれるようにはしていた。
そのうち、意識も混濁しはじめ、鼓動と扉を叩く音の識別が出来なくなった。
と。
「おかぁさん…っ!あけてぇっ!あけてよぉっ!!」
(…女?)
かなりかすれた声ではあったが、確かに女の声が扉を通して聞こえた。
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