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やがて、女は泣き止み、きょとんとした顔で俺を見た。   「…おにいちゃん、だれ?」 「……。」 「…ねぇ、おかあさんは?」 「……。」 「…ねぇ…ねぇってば…。」 「……。」 子供のような声で問いかけてきた。 また泣き出しそうな顔になり始めたから、面倒ながらも質問に答えてやることにした。   「…俺は、ここに住んでいるヒキコモリだ。」 「うん。」 「…だから、お前の母親はいない。」 「ふぇ…」   …始まった。 面倒だな…。   だからと言って追い返そうにも、また面倒なことになりそうなのは目に見えているし、不思議と殺意も沸かん。     時計を見ると、もう昼だ。 何か作るか…。
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