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遥か昔、この星には偉大な神がおわした。
神はいつも、大海原のど真ん中で大きな一枚岩を尻に敷き、世界中の人間達を監視していた。
やがて人間社会が落ち着き神がその役目を終える頃には、一枚岩は豊かな土に覆われ、色とりどりの草木が生い茂り、動物達が平和に暮らし、ただ一人そこに住んでいた人間の女と神の間には子があった。
そこはまさに楽園であった。
しかし、役目を終えたからには自分も元の世界に戻らねばならない。
妻と子、そして何よりこの土地を守ろうとした神は、自らの指を右手と左手から二本づつと、子種を地上に残し、土地に術を掛けて天へと帰った。
やがて、残された四本の指は屈強な戦士に。
子種は何千もの民となり、神の妻を女王に、子を皇子に、1つの国家を作り上げた。
神の名は、桜花(オウカ)。
戦士の名は、戦花(イクサバナ)。
そして、誇り高き神の血族である我々は、桜花の民を名乗り、今日、ここに桜花国を築くに至るのである。
現代語訳:本居 宜長先生
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