序章 「花、開く。」

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恐る恐る奥の空間に入る。 重い扉を通り抜けた瞬間、美奈子は思わず鳥肌がたった。 空調の整備されたような感覚。 湿気の無い、しかも寒くも暖かくも無い空気がその部屋を満たしていた。 (空調が…生きてる?そんな馬鹿な。) 暗闇の中、非常灯に照らされた細い道しるべを進んでいく。 そして突き当たりまで来て、美奈子はここが何なのかを理解した。 眼下の広大な空間。 そこにそびえ立つ、四体の巨人のようなモノ。 それぞれ青色、黄色、緋色、緑色に淡く光り、四肢を頑強な拘束具で縛られていた。 研究所とは思えない、この幻想的な光景を美奈子は畏れた。 神の住まいに忍び込んでしまったような、 王の墓を暴いてしまったような、 発見の喜びよりも、罪悪感の方が勝ってしまうくらい、神々しい場所だった。
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