死神さん

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 ベッドの横にあるタンスの高さから考えると身長は一五五センチくらいだろうか。ぼくよりも少し低い。まあ、ここ三年は立ってすらいないから、ぼくの身長も予想で少し伸ばしたけれど、実際はどうかわからない。病状を考えると、むしろ縮んでいる可能性もある。  というか、何を見逃していたのだろう。女の子の服だってかなりおかしいじゃないか。病院の、しかも一般患者でも入れないこの病室に、ピンクのヒラヒラドレスを着た女の子なんて、学校に孔雀がいるようなものだ。しかも、手には同色の手袋らしきものもしているし。  はっきり言ってこの女の子は、ぼくにとっての世界であるこの病室で唯一分からない存在になっていた。  部屋でも間違えたのだろうか。いやいや、深夜の病院だぞ、病室から出ていることや来客があることがすでにおかしい。どうにせよ、三年ぶりの来客ということになる。同年代の女の子と話す機会なんてこの先あるか分からないし、世間話くらいしてみたい気持ちはあるけど。  ……いや、待てよ。この女の子は今、なんて言ったんだ? ぼくが五日後に死ぬとか何とか……そんなわけないか。医者ですらぼくの余命を何回も間違えたっていうのに。  ぼくは意を決して尋ねてみた。 「あなたは、誰ですか?」  かすれた小さい声。そういえば、最後に声を出したのは三日前だったっけ。もう声帯も衰えてしまったかな。 「私は死神」  この女の子の声を聞くのは二回目だ。可憐で、可愛らしい声。ぼくよりもずっとしっかりしている。毅然とした態度でぼくを一点に見つめて――ぼくの返答を待っているのだろうか。  ……シニガミ? 名前にしてはかなり変わっている。まあ、いいや。 「えと、シニガミさん。シニガミさんはどうしてこの病室に? 面会時間はとっくに過ぎてるし、今は消灯時間ですよ?」  ベッドの正面にある、デザイン性のカケラもない白いアナログ時計を確認すると、暗がりながらも二時過ぎくらいだった。
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