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てるからな。
もう悲しむなよ?」
「うん…!」
「歩…オレ、ずっと幸せだった…」
そう言って微笑むと、マコトはあたしの髪を撫でた。
そこで夢は終わったー…。
朝だ。
カーテンのすき間の光と頬に残るまつげと一筋の涙…。
「マコト…おはよう」
返事が返ってこないのは分かってる。
それでもあたしは生きていかなければならない。
きちんと起きて寝て、食事をして、大学にも行って。
もう二度と今世であの人に会えなくてもー。
約束が叶わなくてもー。
だって
あたしの中で
いつまでもきっと
あなたは生きている。
魂は不滅だ。
ずっとずっと…生きている。
そう思うと力強い。
側にいてくれるような気がしてー。
ひとりじゃないよ…。
あたしとマコトが今世でした約束。
ずっと一緒にいようね。
大学卒業して経済的が付いたら結婚しようね?
郊外に大きな家を建てて、焦げ茶色の犬を飼って、子供は三人くらい。
ずっとずっと仲良く暮らそうね…。
19歳の真冬の誕生日にマコトはそう言ってくれた。
紺色のダウンコートを着て、あたしのことをすっぽり抱きしめて…。
星が降ってくるような夜だったね。小高い丘で天体観測したね。あの夜の群青色と満月の輝きは一生忘れません。
願いは叶わなかったけど、
優しいマコトが、あたしは大好きでしたー…。
「あゆ」
「なに?」
「昨日は言い過ぎちゃってごめんね」
「水臭いなーもう」
真由が墓石に水をかけながら笑った。ケンちゃんが線香を持ってきた。
「はい、歩から。拝んで」
「うん」
あたしは火の付いた線香とマコトのお墓にそっと手を合わせた。
…マコト?
聞こえる?
あたしだよ、あゆみ。
昨日は逢いにきてくれて…ありがとう。
あたし頑張るよ?
だからどうか見守っていてください。
…ほんのちょっと休憩するだけだよね。
ほんのちょっと…会えなくなるだけだよね。
そう言うと私はそっと目を開いた。
そしてゆっくり後ろに下がった。
大丈夫、もう泣かない。
泣いたらきっとマコトも悲しむ。
だから泣いちゃいけない…。
マコトがちゃんと成仏出来ますように…。
来世でまた巡り合えますように…。
あたしは神様にそう祈った。
☆☆THE END☆☆
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