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急いで部屋着のまま、家を飛び出すと夢中で走り出した。
途中色んな噂を聞いた。
マコトの…悲しい噂。
あたしは信じない。
マコトのアパートのインターフォンを押すと、鈍い音がしてドアが開いた。
「マコト…!?」
力無くそう呟くと中から出てきたのはケンちゃんだった。…なんだ。マコトかと思ったじゃん。
あたしはその場にガックリと倒れ込んだ。
「歩…」
ケンちゃんに抱き起こされたあたしは泣いていた。
子供みたいにわあわあと大きな声で喚いた。
「マコトが死んじゃったなんて嘘でしょう…?」
「……」
「嘘って言ってよ、お願い!!」
あたしの悲痛な悲鳴を前にケンちゃんは何も言わない。
ケンちゃんだってすごく辛いはずなのにー…。
あたしだけ、こんな喚いてごめんなさい。
まぁ…入れ、とケンちゃんに言われて中に入った。
マコトがいるはずの空間にマコトがいないのは、とても悲しくて寂しくて、また涙が溢れた。
「昨日の夜遅くに家を出ていったんだ。
あいつなかなか帰ってこなくて…歩の所行ったのかな…って思ってたんだけど、今朝警察から電話が掛かってきて、
電車に挽かれたって…」
「…電車に?」
「線路の中に入ってったらしい。
駅の踏み切りから…」
「…嘘でしょう?」
「オレも信じたくないんだけどさ…」
「…そんな」
マコトが踏み切りの中で?死んじゃった?
あたしはそんなの…信じないよ。
だって、約束したのに。
「自殺なの…?」
「警察はそう思ってる…みたい」
「…そんな。
だってマコトが死んじゃう理由なんてどこにもないじゃん?
悩んでる感じ…なかったのに」
「…あぁ。
オレも信じられねぇよ…」
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