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マコトはこの街で、あたしが唯一頼れるヒトだった。
大学受験をして合格して、あたしは親元を離れてこの街にやってきた。
大学の近くの、東京なのに小さなこの街に…。
そこで、マコトと出会った。
マコトはあたしと同い年の同じ大学に通う男の子だった。
始めて出会ったのは、駅の切符売り場だった。
田舎からやってきて地理が全くわからないあたしに優しく教えてくれた。それがきっかけだった。
マコトと付き合うようになって、お互いの家を行き来するようになって、ケンちゃんとも知り合うようになった。
心細かった都会の生活もマコトのおかげで慣れたようなもの。
かけがえのないヒト。
あたしにとってのマコトを表すには、きっとこの言葉が一番相応しい。
失えないヒトなのに、どうして死んじゃったの?
神様はいじわるだ。
マコトをどうして助けてくださらなかったのですか?
あんなに優しくて良いヒトなのに…。
帰り道。
近所のおばさん達がマコトの悪口を言っている。
「あの子クスリやってたみたいね」
「まぁこわい。でも見るからに…って感じよね」
「あんな髪であんなピアスしてたら、誰だってそう思うわよね」
睨みつけるあたしに気付いたのか、おばさん達は申し訳なさそうに背を背けた。やがて、その内の一人が「あの子も…可哀相ね」とポツリと呟いた。
…同情しないで。
…だってマコトは死んでるわけない。
あたしを独りぼっちにして逝っちゃうわけがない。
家に戻るとベッドに俯せになって、ずっと泣いていた。
マコトに会いたいよー…。
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