恋人の死

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久しぶりに外へ出た。 青い空と白い雲…真昼の空は、マコトに会えなくなって以来見てなかった。 久しぶりだね。 っていうマコトの穏やかな声が聞けそうな気がしたけど、気のせいだった。 世界は私がどんなに悲しくても辛くても…、一人の人間の絶望や不幸なんてお構いなしに、まるで何事もなかったかのようにずんずん進んでいってしまう。 私はマコトのいない現実を進みたくない。 忘れてしまうのがこわいからだ。 ドトールまで重たい足どりで歩いた。どうせ真由に会っても説教されるんだろうな…。 「あゆ…!」 店に入ると真由が小さく叫んで手招きした。 「久しぶり」 カタンと椅子に腰をおろす。 「あゆ…また痩せた?」
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