序章

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「賢明な判断じゃ。……じゃがこのまま病を治す方法が分からないのであればまずいことになるのう。今が良くとも、明日には悪化するものも現れるやも知れぬ」 「……エルフィールが。実はエルフィールの体調がかなり深刻な状態なのです」 「エルフィール……。おお、あの娘か。元気な娘だと思っておったのじゃが」 「はい。村でも一、二を争う活発な少女だったのですがどういうわけか……今はただ女神アルテナ様に祈るしかございませぬ」 「そうじゃな」  それから数日が経過すると、ベラルドのいやな予感が的中した。  一転、症状が悪化したのだ。  元々症状が軽かった者たちは自然治癒したが、重かったものは完全に床から出られなくなった。  エルフィールの容態は刻々と最悪な方向――すなわち「死」――へと向っていた。
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