序章

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「薬を飲ませたわ。2,3日すれば彼女はきっと治るはずよ。……それまでは静かに寝かせる事ね」  周囲で様子を伺っていた村人たちにほっと安堵の表情が浮かぶ。  そして実際、二日たった朝、エルフィールは何事もなかったように目覚めたのだった。  数十人がとこの小さな村である。  エルフィールの両親だけでなく、村中の者全員が、彼女が助かった事を喜んだ。  みな、家族のようなものだ。  だが喜ぶ村人たちの傍らでベラルドと神父は、まずエルフィールを救ったあの女性に礼を言わなければならないことを知っていた。  彼女は二日教会に宿泊していた。  二人が教会に行くと、まさに彼女は身支度を整え、去ろうとしていたところだった。 「ああ、間に合った! 是非あなたにお礼を言わねばならぬと思いましてな……!」
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