序章

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 とだけ言った。  イングリドの断定的な口調に、エルフィールは少しだけ元気が出た。 「あたしやってみます。やるつもりでここまで来たんだもん。このまま引き下がりたくないです」  その台詞を聞いて、イングリドはにっこりと微笑んだ。 「いいわ。それじゃ家に案内するわ。1年近く放置してあったから掃除しないといけないでしょうけど……掃除くらいは自分でやるのよ」  イングリドは自分の後ろをぴったりとついて歩くエルフィールが、誰かに似ているような気がしてならなかった。  が、 「掃除は、あまり得意じゃないです……」  というエルフィールの台詞を聞いてはっと思い立った。  ――そうか…あの子に似ているのね…。  前の住人だったあの子、マルローネに……。
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