3人が本棚に入れています
本棚に追加
むろん、制服のあるアカデミーの生徒ではない。
「あ~ぁ……」
少女は顔を伏せたまま傍らに転がっていた石を投げた。
石は不規則なバウンドをしながら転々とし、アカデミーの入り口から出てきた女性の足元で止まった。
女性は立ち止まると石を見、そして少女を見た。
「どうしよう。みんな期待してたのにな……」
誰に語るのでもなく、力無くつぶやく。
彼女の脳裏に今日あった出来事が次々と浮かんだ。
と、そのとき、
「あなた、どうしたの?」
不意に呼び止められ、少女は顔を上げた。
見れば少女の頬は涙でぬれていた。
最初のコメントを投稿しよう!