序章

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 ザールブルグの議会へ書類を提出しに村を空けた20日間の間に何があったというのだ。  ベラルドが街の中央にある教会の方へ歩みを進めたとき、教会の裏口から神父が現れた。  彼もまたよろよろとした足取りである。 「神父、これは一体どういうことじゃ」  ベラルドは今にも倒れそうな神父をベンチに座らせつつ尋ねた。 「私にも分かりませぬ。数日前から村中で体調の不良を訴えるものが増えました。どうやら流行り病ではないかと……。かくいう私も昨日、病に冒されたようでご覧の通り……」 「むぅ。どうしたらよいものか……」 「幸い、今のところ死に至ったものはございませぬ。なかには病にかからない丈夫なものもおります。彼らには隣町に救援を求めに行かせましたが……」
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