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にしてもだ。
この女は無計画すぎる。
考えればわかるが、ロボット相手(正確にはコンピューター、それもホログラム)に対して値引きしろというのは通用するだろうか? 答えはノーだ。はっきりとそう言える。
それをこの女はやってのけている。なんというか……はっきりといえば、俺とは性格が合わないと思う。
「……で、どうなのよ。この革靴! 40G! 40Gが相場なんじゃないの?!」
「もう50Gで勘弁したらどうなんだ……」
「なによ、あんた」
うわっ、しまった。つい口に出してしまった。
「なによさっきからでしゃばって! しかも挙句の果てに、あたしの邪魔するっての。はあ、つまらない人間ね。ほんとに」
「なんなんだ、さっきからお前。ほんとうざいぞ」
「……革靴はいいわ。その代わり、こいつをいただいていく」
そして、そいつは革靴を置いて――あれ? なんで俺の手を繋ぐんだ? いや、ちょっと待って! なんで強引に引っ張っていくの?! あと大地お前止めろ! ニヤニヤしてるんじゃねーよ! ちくしょう! あんな老け顔で十八歳とか言ってたのは嘘だったのか?!
「……あぁああああぁぁ」
情けないくらいの悲鳴をあげて、俺は街の外れにまで引きずられていった。
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