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「――まあ、てなわけでさっさと一層クリアしちゃおうよ。この感じなら別の層にも人がいるんじゃない? なんせあんたがきたのって“五番目”だからさ」
……は? 五番目、ってことは。つまり、一番目とかあるのか?
「そうよ。ちなみに私は二番目。適当にクリアをしようと思うも、一層の宝探しもできずにこのへんでぐずぐず腐っていきそうだったモンさ」
「宝探し?」
「そう、一番目のエリートプレイヤー、名前は確か“和登”っていうらしいんだけど。そいつが、一層でたからを見つけてきたのよ。それも、高級なものらしくて、それで一部のプレイヤーは躍起になったわ。しかも一日寝て行ったら復活してるのよ? どこのRPGって話よ」
いや、それってどこのRPGでもあまり見ない仕組みだと思うぞ。……にしても宝探しか。ふむ、ひまつぶしにはなりそうだな。
「……ちなみに第一層の宝はコンパスらしいわ。なんでも、それが出口を必ず指し示すんだとか。それでも、そこまで行くのに死人は結構出てるとも出てないとも……」
「曖昧だなオイ」
「まあそれでも行く人は多いヨ? だってコンパスは必ず出口を指し示す。迷宮攻略には完璧!」
「たしかにな。……で、どうする?」
おれはひとまず空気になりかけてる大地(もしかしたら自らの立場を自覚してしまっているのか、いつの間にか入り込んだ猫とじゃれ合っていた)に話を投げてみた。
「……なにが?」
まあ、案の定聞いてなかったというわけで。
「宝だよ。宝。しかも、ここを脱出するために、必要なんだと。……どうする?」
「どうするも何も、そうなら行かないとまずくないか?」
「だよな」
「それじゃ満場一致で宝探しに向かうということでー」
「おー」
なんだこのやる気のない感じ。ほんとうに宝が見つかるんだろうな? 俺はそんなことを思ったがすげえやる気のアスナの顔を見て、そうとは言えなくなった。
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