幕間 一

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 第四層、“ギルド・セキュア”。  自然があふれる、豊かな村だ。  食堂を営む、新野紗知(にいのさち)もこの村に暮らす人間の一人だ。彼女は、この村にある食堂『ナイトキャット』の看板娘兼オーナーとして、ここに住んでいる。  ところで、村の店員はすべてAIではないのだろうか? 答えはノーである。はじまりの街、クラウド・ビギニングですらそうでもなかった。彼らはある一定のお金を支払えば、店を譲渡してくれる。つまり買い取って自分の店としてすることが可能になるのだ。  どうやってお金を集めるかはいろいろある。ギルドに入ってミッション(そのどれもがしょうもないものだったりするのだが)をクリアして報酬としてお金をもらったり、ラビリンスエリアにある宝や落し物を持ち帰り、売ってみるなど、その方法は様々だ。  彼女もそういう方法で村のはずれ(とはいえ、第一層~第三層のラビリンスエリアへ向かうテレポーターのそばにあるので、はずれかどうかと言えばそれは不明瞭なところがある)に店を構えることが出来たのだ。最初こそは人も来なかったが、彼女の料理は評判を呼び、これを食べに第一層から態々やってくる人だっている人気のお店になった。ギルド・セキュアは名前にもあるとおり、村の中心部にギルドが存在する。ギルドとは、職業別組合のことで、ここでは冒険者たちがミッションを受けるための場所となっている。
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