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「……いやあ、今日もいい天気だなあ」
私はギルドとかそんな詳しいことはわからないけど、とりあえず食材を取りにいかなくちゃ。いつもの装備と、店のドアに『今日は午後から営業します』って書いとかないと。
「これでいいかな」
とりあえず準備は万端、近くにあるテレポーターに行くことにしよっと。テレポーターに乗って第三層に行けば、私の食堂だけの畑があるからそこで食材を取らないとね。
「さーてっと……ん?」
あれ、なんか石みたいなものにぶつかっちゃった……って人?! しかも何人もいるし! 集団で何やってんの!
「うぅ……」
あ、目覚めた。
「み……みず……」
――私は見捨てられない性格だ。
だから、時たまそれで後悔することもある。
きっと――それは今だ。
とりあえず水はあげることにする。だけど、一杯づつね? 水筒持ってたことに感謝して欲しいよ。
「ここは……どこだ?」
ここは第四層“ギルド・スキュア”だよ、とコップの口を丁寧に拭きつつ、私は言った。すると、そいつは(そんな元気があるなら最初からあるけよ、ってのはこの際言わないでおく)急に立ち上がり、私に問いかけた。
「ここが! ギルド・スキュア? 第四層、二つ目の街なのか?!」
「ええ……そうですよ」
私はもうなんだかめんどくさくなってきているので、適当に答えた。ああ、急がないと食材が……。あれを食べるために来る人がどれだけ来るとでもおもってるのよー!
「やった! 着いたんだここまで!!」
「あのー……もしかしてあなた一層から? その軽装備で?」
「ああ。コンパスも結局見つからなかったし、自力でここまで」
「なんてことなの」
私は思わずその人間の言葉に呆れてしまった。もう、呆れてものも言えやしない。
でも、悪い人ではなさそうだ。私は何となくそんなことを考えたのだった。
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