第四層 ギルド・スキュア

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 エーテル・ラビリンスがなぜ自律的に動いているのか。彼はとある天才科学者を例に挙げ、彼がやったのではないかと位置づけた。  鷹富隆二。  反重力作用を生み出した彼はその半年後に死亡した――“とされている”。  なぜそうなのかは、簡単だ。死体が見つかっていないからである。彼は皮肉にも彼が製造した反重力作用に基づく新型の車輌に自ら乗り込み、それが暴走したことによる事故死だったがなんでも一部の情報では彼の死体が見つかっていないというのだ、不思議なことである。  仮に今、彼が生きていたとしてこのエーテル・ラビリンスを建造したとするなら――その目的はなんなのか。やはり、そこはわからないままだ。 「おい、終わったぞ」  大地から声をかけられ、俺は目を覚ました。どうやら眠っていたらしい。火は翳り、夕日がカウンターから見えて綺麗だった。 「さて、片付けっか」  俺はカウンターから離れ、机にいくつか残る皿を片付けに向かった。
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