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そんなこんなでおよそ二週間ほどは平和な毎日を暮らしていた。
しかし、それを一変させる出来事が起きた。
「市民が幼児化していく?」
「ええ。それも精神だけ。赤ちゃんの服を着て、大人なのにおっぱいをせがんだりしているそうです」
俺はいつもの通りカウンターで注文を待っていると、サチは近所から仕入れたらしき情報を俺に教えてくれた。
「そりゃ、訳が分からんな」レモネードを一口飲み、再びサチに尋ねる。「……前兆かなんか無かったのか?」
「……強いて言うなら、この街には保育サービスというものはひとつの業者しかないことです」
「……その人間は?」
「わかりません。ですが……こう呼ばれているようです」
俺はサチの言葉を、一言一句聞き逃すことはなかった。
「――プロフェッサー・ミルクと」
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