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「プロフェッサー・ミルク?」
ふざけた名前だ、と俺は思った。牛乳でも好きなのか、そいつは?
「もしかしたら、そいつが何か隠しているかも……」
「ちょっと見にいかないか?」
とりあえず俺はサチに聞いてみた。
「……え?」
「不思議だ、と思うんだろ? その話を聞いてて俺も思ったからな」
「店の方が……」
「店はアスナと大地に任せとけばなんとかなるさ。……行ってみよう」
俺がそう言うと――ようやく、サチも頷いた。
**
ミルク保育サービス。
名前のとおり、保育園だ。そしてそこには沢山の“精神が幼児化した大人”たちがいた。それは違和感しかなかった。だって、考えてみてくれ。たくさんの大人が赤ちゃんの着るような服を着て四つん這いになってるんだぞ? しかも人によってはベッドでカラカラのおもちゃをずっと見てるんだ。変な風景でしかない。
ところで……責任者はどこにいるんだ?
「ここに何の用でしょうか」
振り返るとそこには、メイド服を着た女性がいた。みんな四つん這いになっているからか、まともな人間か……とほっと出来た。
訳ではなく。
「……なんでここに精神通常な人間が迷い込めたんでしょう?」
そう言って、そのときに逃げてしまえば(もしくは何らかのアクションを起こせば)よかった。
ひょいと持ち上げられた。サチだけならわかる気もするが、俺もだ。
「わ、わわ! どこに!」
「……あなたたちも再教育の必要がありそうですからね」
そのメイドは機械みたいな声で言った。
俺は抗うことなく、そいつに従うことにした。
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