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始まりは中一の秋。
小学四年生の頃から好きだった伊沼 俊太という人に、あたしは遂に告白する決心をした。
電話の受話器を手に取り、彼の番号を押して。
「もし付き合ってる人がいないなら、付き合ってください!」
「・・・・・」
・・・もう、早く答えてよ!
緊張するじゃん!
「・・・返事はあとでもいいですか。」
「うん。」
ガチャ。
はあ。
これ、絶対フラれるパターンだ。
あたしなにやってんだろう。
ベットの上で、そんなことを考えていたら、いつの間にか眠ってしまった。
翌朝。
「真実、おはよー!」
「おはよ、くま。」
くまとは、熊村ほのみのこと。
彼女とは部活で知り合った。
伊沼 俊太と同じクラスで、仲も良いらしい。
「あ、俊太ね、無理だって。」
「だよねー、彼女いそうだもん。
ごめんね、伝言させちゃって。」
「いーよいーよ、またなんかあったら言って!」
「ありがとー!」
教室に入ると、男子が一斉にあたしの方を振り向く。
あれ?なんでみんなこっち向くんだろう。
あたし顔になんか付いてるのかな。
「真実ー!大変だよー! 」
「史絵、どしたの? てかなんでみんなこっち向く訳?」
「真実昨日俊太に告ったでしょ!?」
「え、なんで知ってんの!?」
「クラスでめっちゃ噂になってるよー!」
あ、だからみんなこっち向くのか。
でも昨日告ったのになんで・・・?
「まあ、男子なんてほっとけば見なくなるよ。」
「そうだね。」
放課後。
やっとあたしの嫌いな授業が終わったー。
あ、今日部活ないんだっけ。
早く帰ってピグでもやろ。
家に着いて、パソコンを開いてアメーバピグを始める。
これがあたしの日課。
アメーバピグを始めたのは、俊太がピグをやっていたから。
ただ、それだけ。
最近は俊太と話すようになったけど、今は告ったあとだしなあ・・・。
と思っていたら。
うちのクラスの村澤 武がやっていた。
そういえばこの人、好きな人とかいるのかな?
学校で話したことないからなー。
よし、聞いてみよ。
「ねえ武。好きな人とかいるの?」
「なんで? 」
「いや、いるのかな、って思って。」
「いるよ」
「え!誰々?」
「言わない。」
「じゃあー、ヒント!」
「いいよ、でもお前も言えよ」
「いいよー。」
こうして、武とあたしとの好きな人交換が始まった。
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