1 提灯に釣鐘

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部長とお付き合いを始めて3か月。 別に社内恋愛がダメじゃないし、お互い大人だし。 隠してもいないけれど、私と部長っていうのがピンと来ないのか、誰からも疑われていない。 ちょっと悲しい。 花音からも『まさかのカップル』と驚かれたし、いつもの二人を見ていて付き合ってる感がゼロだって言われる。 ようするに不釣り合いな二人な訳で・・・自分で思って悲しくなってきた。 それなのに、家族と食事とか言われても。 絶対部長の家族、『この子が彼女?』ってなるに違いないのに! せめてもう少し大人っぽい格好してる時にして欲しかった。 愚痴を心の中でこぼそうとも、タクシーは前へと進んで行くもの。 20分程で、目的地に到着した・・・らしい。 って、ここ部長の家からそんな遠くないじゃないですか! 「部長?」 「何ですか?」 「あそこに見えてるマンションは部長の住んでるマンションですよね?」 「そうですね」 「で、ここは?」 「実家です」 「えっと、実家とマンションこんなに近いんならマンション要らないのでは?」 「三十路前の男が今でも実家暮らしとか気持ち悪くないですか?」 「そんな事はないかと思いますが」
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