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カチ・カチ・カチ・カチ
壁にかけられた時計の音と、たまに捲られる紙の音。
ボールペンを走らせる音。
それがやたらと耳に入ってくる。
チラっと視線を上にあげれば、時間外と言う事もあり、背広の上着を脱いで、シャツの腕をまくった部長の姿が目に入る。
私と同じように、机に向かって仕事をしてる姿は、『仕事ができるカッコいい男』の姿だ。
「見てる暇があったら、在庫を合わせて下さい」
こちらを見ることなく発せられた言葉に、心臓が縮む。
小さく『すみません』と呟き、再びチェックする。
ああ、もう、どこで間違えたんだか・・・
「あ!あった!ありました!
部長、見つけました!」
バーコードの打ち間違いで、ハンドタオルをバスタオルで入力していました!とまでは言いません。
そんな事を言えば、またお説教されるって分かってるから。
訂正を入れ、急いで片づける。
部長は眼鏡を外して、右手で目頭を押さえていた。
「ふぅ・・・毎回毎回、可愛い彼女とのデートの時間を潰してまで付き合ってる私の身にもなって下さい」
「す・・すみません・・・
えっと、部長コーヒー飲みますか?」
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