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私は今日捨てられた。
実の親に捨てられてた。
血のつながりのある親でも忌み嫌うほどの不運体質。
縁を切ってしまいたいと思わせるほどの招禍体質。
私の周りではいつもトラブルが起こる。事故が起こる。
そして私の代わりにいつも誰かが犠牲になる。
「呪われた子・・・。」
意識を失う前、母がぽつり呟いた。
私をかばい血だらけになって倒れている兄を見て思わず出た本音。
「この疫病神が!どこまで人を苦しめたら気が済むの!どれだけ人を不幸にしたら気が済むの!・・・あんたなんか、あんたなんか生まなきゃよかった!あんたなんか生まれてくる前に殺しておけばよかった!」
サッカーの日本代表を夢見て頑張っていた兄が二度と自分の足で歩けないと分かった時に母が私に掴みかかって吐き捨てた言葉。
母の一言一言が鋭いナイフのようにグサグサと私の胸に突き刺さり、いっそこのまま殺してほしい、私は心の中でそう思った。
『お母さん、私を殺して。言葉のナイフで私をグサグサ突き刺すように、私を気がすむまでナイフで突き刺して。私ももう楽になりたい。人を不幸にする人生から解放されたい。次は何が起こるか不安に怯える日々から解放されたい。だから、お願い。私をこの世から消し去って。』
私は心からそう願った。本当に本当にそう願った。
なのに・・・・。なのに、母はそうしてはくれなかった。
「ねえ、煌力(あきちか)、お母さんね、もう限界なの。もうこれ以上、希世来(きよら)とはいたくない。もうこれ以上・・・耐えられない。あなたは親のくせにって怒るけど、もう本当にダメなの。本当に本当にダメなのよ。お母さん、これ以上希世来といたらきっとあの子を殺してしまう。だから、そうなる前にあの子を捨てたい。これからは最初からいなかったと思って生きて行きたい。ねえ、それでいいでしょ。あの子が私に殺されるより、その方がずっとましでしょ。』
「・・・・・・・・・・。」
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