プロローグ

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毎晩、一人の夜は本を読んで過ごしていた。 本はいい。 色んな世界に行けて、あたしの様な悪魔堕ちでも主人公になれる。 楽しくて、楽しくて──だけど、羨ましかった。 本以外、楽しくない人生。 本でしか、主人公になれない自分。 愛されない自分。 それが悲しくて空しくて……いつだったか、月明かりの射す窓際で泣いた。 大好きな本を抱えたまま、祈るように泣いた。 それでも、何も変わらなかったから……諦めたんだ、あの日から。 きっと、あたしは誰にも愛されない。 誰とも、人間関係なんてきずけない。 誰も──手なんか、差しのべてはくれない。 現実は物語よりも残酷だ。 そう、思っていた。 あなたが、現れるまでは───
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