63人が本棚に入れています
本棚に追加
毎晩、一人の夜は本を読んで過ごしていた。
本はいい。
色んな世界に行けて、あたしの様な悪魔堕ちでも主人公になれる。
楽しくて、楽しくて──だけど、羨ましかった。
本以外、楽しくない人生。
本でしか、主人公になれない自分。
愛されない自分。
それが悲しくて空しくて……いつだったか、月明かりの射す窓際で泣いた。
大好きな本を抱えたまま、祈るように泣いた。
それでも、何も変わらなかったから……諦めたんだ、あの日から。
きっと、あたしは誰にも愛されない。
誰とも、人間関係なんてきずけない。
誰も──手なんか、差しのべてはくれない。
現実は物語よりも残酷だ。
そう、思っていた。
あなたが、現れるまでは───
最初のコメントを投稿しよう!