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「はあ、全く困ったお客さんだ」
遠くなったリゼの背中を見つめ、乗務員は愚痴をこぼす。
焦げ茶の背中。
深く被ったフードと、全身をすっぽり覆う体に不釣り合いなローブ。
声を聞かなければ、女の子だとも気づかなかった。
「……にしても、つくづく変わり者を引き寄せるな。この街は」
呆れたように呟き、乗務員は眼前の街を見やった。
レンガ造りの建物がおのおの個性的に彩られ、全くと言っていいほど統一感のない、その街。
──ギルド連合都市、ラスティーユを。
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