満ち足りない日常

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じめじめとした空気が漂う、6月。 最近降り続いている雨が、今日も降りやむことはなかった。 「はぁ……」 そんな様子を窓の内側から見ながら、頬杖をついて息を吐く。 「あーあ、包(ツツム)の幸せいっこ逃げたあー」 すると、呑気な声とともに前の席がガタンと音をたてた。 誰かが座ったらしい。 「だって雨だとテンション下がるんだもん」 声の主なんか見なくても分かる。 なので、そのまま窓の方に向きながら会話を続けた。 「まあ、気持ちは分かるよ。こうじめじめされるとねーこっちまで暗くなっちゃうよねー」 やれやれ、といった表情で雨粒が打ち付けられている窓の外を見る彼女だが…… 「さっきまで校内走り回ってた人が何を言う」 「それは違っ……くないけど! うちは無理矢理走らされたんだよ!」 さっきまで元気一杯に動いていたもんだから、私からしたら「どこが暗いんだよ」と突っ込みたいくらいだ。
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