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ナ『このお話はヘンゼルとグレーテルという兄妹が捨てられてしまい、なおかつ帰り道が分からなくなってしまった上にヘンゼルが良かれと思って道しるべにパンを落としたのち食われてしまうという何とも踏んだりけったりな二人と低能な魔王とのお話です』
―森の中―
ヘ『グレーテル…疲れてないか?』
グ『うーん…疲れてないと言えば嘘になりますわヘンゼル兄様』
ヘ『…つまり疲れてるんだな』
グ『それにしても…兄様がパンを落として帰る際の道しるべにしようなんて考えたくせにそのパンが鳥に食われてしまって帰る方向を見失った上にとても貴重な食料まで失ってしまって…』
ヘ『すまないな…グレーテル』
グ『私達は空腹の上に疲労がたまってしまったという原因が何を隠そうヘンゼル兄様だという事なんて全然私は気にしてませんから大丈夫ですわ』
ヘ『……ごめんなさい』
グ『もう兄様が生命体でいる意味も無いのではないでしょうか?』
ヘ『あれ…死ねって事…?』
グ『兄様、あそこに家のようなものが見えますわ。扉がチョコレートで出来てます』
ヘ『グレーテルもとうとう人生という名の道に疲れきってしまった為幻覚さえ見えるようになってしまったのか。』
グ『ヘンゼル兄様の嗅覚は正常に機能してないんですか?してないんですねお可哀想に』
ヘ『ぐれてるのか…グレーテルだけに…久々にうまいこと言えたよ』
グ『さけるチーズ並みに裂かれたいんですか。ほら甘い臭いがしてきませんか?』
ヘ『まさか妹にチーズ扱いされると思ってなかった』
グ『そこじゃありませんバカ兄様。色んなお菓子の匂いがします』
ヘ『そうか?言われてみればお菓子の匂いが……』
グ『こっちから匂いがしてきます。行ってみましょう』
―家の玄関―
グ『ここですね。入ってみましょう。』
ヘ『失礼しまーす…』
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