クラヤミブレイカー

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とりあえず物置と化していたクローゼットから 数少ない服を取り出し、早々と着替えた 夏だというのに冬服しかなく、フードのついた長袖の服に青いジーパンしかなかった。 仕方がないと思いながらヘッドフォンを着けフードをかぶった 「よし、防音完了」そう呟いたが簡単に言うと現実逃避完了だ。 そして部屋の扉を開けた トイレと風呂と食事以外に開けることのなかった、この扉を 外へ出るために開いたのだ。 左側に直ぐ玄関があり、何故か親に気づかれたくなく 忍び足で玄関まで進んだ そして下駄箱の中にある自分の靴を取り出した。 この靴は足が大きくなることを予想して大きめのサイズを買ったのだが 久しぶりに履いた靴は少しきつくなっていた。 玄関のノブに手をかけたとき、リビングから母の声がした 「クロメ?外に出るの!?気をつけてね...」 まるで小学生を心配するような口ぶりでそう言った その声は少し嬉しそうにも聞こえた。 玄関で目頭が熱くなり我慢できずに家を飛び出した。 「い、い、いってきます!!」 恥ずかしい。 顔が燃えてるかと思うくらい熱かった。
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