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「ブルーレイが欲しい」「PCを買いたい」「トースター…」「冷蔵庫…」
大学入学と同時に親に揃えて貰った一人暮らしに必要な最低限の家電を、取り憑かれたように次々と最新の物に買い替えていく。
岡は毎回一緒にパンフレットを並べ検討し、実際に店で選び、値段交渉までしてくれ、機械に疎い俺の為に使い方を教えてくれた。
そんな共に過ごす時間が俺にとっては大切に思え、全てはこの時間の為だけに…
俺はまた何かを買う。
ボーナス全てをつぎ込み、貯金をどんどん下ろし、岡との繋がりを持つ為だけに…
買い続ける。
今では、『次は何を買おうか?』『まだ何を買っていなかった?』と暇さえあればそればかりを考えている。
何を買うと言えば岡はもっと喜んで一緒に行ってくれるだろうか?
「南は、恋人はいないのか?」
今日もサッカーの試合を観戦に来た岡は俺に聞いた。
「そう言う岡は?」
「今はフリー。気になる奴いても踏ん切れないんだわ。でも、適当に…それなりにな」
岡はグッグッとビールを美味しそうに飲み『南は?』と返してきた。
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